第3回 短期賃貸借制度の改正
短期賃貸借制度とは
抵当権の設定登記後に契約した賃借権(短期賃貸借)は、競売などで所有者が変わっても契約期間内は賃借権に対抗できるとされている。 (民法395条 短期賃貸借:土地は5年以内、建物は3年以内)
本来『登記は早い者勝ち』のため、所有者が先に抵当権を登記して実行した場合、賃借人は直ちに立ち退かなければならなかった。
しかしこれでは借りる側にとって不利なため、短期の賃借に限って保護する制度が導入された。 これが短期賃貸借制度である。
改正の理由
近年、この短期賃貸借制度を悪用して競売による売却を妨害するケースがでてくるようになった。
これでは落札できても処理に時間がかかってしまい、入札者(買受人)にとって不利である。 このため入札者が現れにくく、最低競売価格が下がってしまう。
そこで、民法が改正され、短期賃貸借制度は廃止されることになった。
なおこの改正の施行日は、公布日(平成15年8月1日)から1年以内に政令で定められることになっている。 (2004年11月23日追記 平成16年4月1日より施行された。)
改正の主な内容
今回の改正で、抵当権が登記された後に賃借契約が結ばれた場合、その賃借の期間に関わらず賃借人は抵当権者および取得者に対抗できないこととなった。
競落人が競売の代金を納付し所有権を取得したときを起点として、賃借人は6ヶ月以内に明け渡しをしなければならない。
なお、改正法施行前に得た短期賃借権は従前のとおり保護される。
また、競落された賃貸物件について、賃借人は敷金を競落人に請求することはできず、当初の貸主に請求することになる。
改正の影響
落札後の妨害ができなくなるため、競売物件を取得するメリットが増えた。 これから家を購入する方にとっては、安く優良な物件を入手するチャンスが増えたと言える。
家を借りている場合、その所有者が移り、かつ、新たな所有者から申し出があった場合は、6ヶ月以内に無条件で退去しなけれならない。
なお、宅建業者はこの内容について重要事項説明書の中で説明しなければならない。
改定日 2004年11月23日